【完】さつきあめ

ケーキとシャンパンを開けて、ろうそくに火をつけてふたりで一斉にふーっと息を吹きかける。
誕生日みたいだね、とまた笑った。
好きな人がいて、恋人ではないけれど、まるで恋人のような時間を共有出来る事に、この上なく幸せを感じていた時間だった。

「光、これ」

「ん?」

美優とはるなと選んだクリスマスプレゼント、それを見て初めは目を丸くし、段々と笑顔に変わっていく。

「クリスマスプレゼント!」

「ありがとう!いいのに!  って、嬉しいなぁ…
あけていい?」

「気に入るかわかんないけど」

プレゼントを開けて、すぐにネクタイを取り出し、自分の首元にあてる。
空みたいな水色は光によく似合っていた。

「どう?似合う?」

「うん…すっごくかっこいい…」

思わず惚れ惚れするほど、その色は光によく似合っていた。
嬉しいなぁ、と何度も呟き、鏡の前で、何度も何度もネクタイを合わせていた。
そんな光を見ているだけでこっちも嬉しくなった。

「夕陽も、自分のバックの中、見てみな?」

「え?」

バックの中を見ると、小さな小包みが入っていた。
藍色の箱に真っ赤なリボンが巻かれている。
いつの間に、わたしのバックの中にいれたのだろう。