「そういうのってなんかいいよな。血が繋がってないのに、仲良しみたいなの」
「光は?兄弟いるの?」
グラタンをすくう手が止まる。
「いるよ。妹と兄貴」
「じゃあ、光真ん中だぁ~!
真ん中で生まれた子って損するらしいよ~!」
「確かに損ばっかりしてる人生かもな」
自嘲気味に少し笑う。
それでもわたしは光の事が知れて嬉しかった。
家庭環境だとか、光がどう生まれてどう育ってきたか、そのひとつひとつを知っていけば、光の事がもっと理解出来るような気がしていて。
「今でも兄弟仲良しなの~?」
「全然、バラバラ、元々一緒に暮らしてた期間も少ないんだ。
妹とは親父もお袋も一緒だけど、兄貴は腹違いだし。
それでも小さい頃は本当の兄弟みたいに仲良く育ったんだ。…でもさ、大人になって事情を知ってくると何となく気まずくなって、昔のようにはいかないな…」
「そぉだったんだ…」
聞かなければ良かったと思った。
光の時たま影を落とすような一面は、多分小さな頃の家庭環境が一因しているのかもしれない。
「でも…半分でも血が繋がってれば兄弟だもん。絶対また昔みたいに仲良くなれる日がくるよ」
「そうだといいな…」
光はまた、笑った。
沢山作った料理だったのに、光は全部残さず食べてくれて、お腹が苦しいと言って、ベッドに横たわる。
…無理して全部食べなくてもいいのに。そう思ったけれど、気持ちが嬉しくて。



