「もう会長と付き合っちゃえば?」
「は?!!」
「だってそんな指輪を、クリスマスにわざわざあげるなんて、相当あんたの事好きでしょ?
社長みたいにはっきりしない奴より、女は自分のために行動に移してくれる男とのほうが幸せになれるよ。それに億万長者なんだから、金も腐るほどもってるだろうし」
「絶対に嫌!地球がひっくり返っても無理!」
「そんなに?
会長黙ってれば結構かっこいいし」
「ホストみたいなの嫌い!」
「社長だって変わらないじゃない…」
はるなは呆れ気味。
朝日と付き合うなんて想像しただけで寒気がする。
…それにあの人はわたしを好きなわけではないと思う。
亡くなった、さくらさんにわたしを重ねているだけであって、わたし自身を見ているわけではない。それは予想だった。
黙っていた綾乃がやっと口を開いた。
光や朝日の話題だったので、実は少しだけ気まずかった。
けれど、さっき朝日からかばってくれたのは綾乃だ。
「本気ってわけか…」
煙草に火をつけながら、ぼんやりとアクセサリーケースを見つめる。
「いつかきっとこんな日が来ると思ってた…」
はるなと美優と他のお店の女の子たちが深海たちの方へ飲みに行った瞬間、綾乃はぽつりと呟いた。
「初めて宮沢さんとさくらが会った時にあたし言ったよね…。
あんたは宮沢さんのタイプだからって」
「そういえばそんな事言ってたかも…。
でも宮沢さんには、ゆりさんがいるじゃない…」
「あの人はそういう人なのよ。今、気に入ってる女がいても新しい女が来れば目移りする。
ゆりはあの人と結婚したくらい好きなのよ」
「結婚?!」



