【完】さつきあめ

皆で写メを撮り合って笑う。
こんなクリスマスも悪くない。
深海が珍しくアフターの入ってないお店の女の子を引き連れて飲みに行くと言った。
はるなはもちろん、美優と綾乃も来る事になった。
光とのクリスマスが明日で良かった、と会議になったのを嬉しく思う。
深海はどうやら参加する会議ではなかったようだ。

「焼肉ーーー!!高級焼肉ねーー!!」

「あぁ、俺今日破産しそう…」

クリスマスイルミネーションが瞬く夜の街を、キャバ嬢と黒服集団が歩く。
こんな沢山の人に囲まれて、こんな賑やかなクリスマスなんて初めて。
皆でわいわい話していると、先頭を歩く深海が足を止めた。

「…!!」

「おう、お疲れ」

お店の女の子たちはおつかれさまでーすとその男に向かって挨拶をした。
深海も軽く頭を下げる。

「さくら…?」

綾乃の後ろの方に見えないように身を隠すけれど、時すでに遅しだ。

「あぁ、さくら、いたいた」

クリスマスの似合わない男だ。
朝日はいつも通り派手な格好をしていて、ちゃらちゃらとしたアクセサリーを揺らしながら、わたしへ近づいてきた。
…せっかく最近会わずにすんでいたのに。
わたしが何かを言う前に、綾乃が朝日の前へ身を乗り出した。