「クリスマスプレゼント」
安井のようにクリスマス限定ではないが、綾乃と美優とはるなにはそれぞれに似合いそうな色のリップを買っておいた。
綾乃には深紅に近い赤にした。
綺麗な綾乃に似合いそうな深い色だ。
「綺麗ね…。ありがとう」
そう言うと、綾乃はポーチからメイク落としを取り出し、つけているリップを落として、わたしのあげたリップを塗る。
「どう?」
「すっごく可愛い!」
「ありがとう。
わたしも、これ、さくらに」
そう言って、バックの中から赤いリボンが巻き付けられている箱を取り出し、渡す。
「えぇ?!あたしに?!」
まさか綾乃からクリスマスプレゼントが貰えるなんて、夢にも思ってなかった。
中からは見たこともないブランドの、ハンドクリームとボディクリームの詰め合わせが出てきた。
「かわいい!どこのブランド?」
「日本のじゃなくて外国でしか売ってない物なのよ」
「うれしーい!しかも超いい匂い!ん?これ桜の香り?」
「ちょっと季節感ないけどね。さくらにぴったりな匂いかなって思って」
ぶっきらぼうに言う綾乃の気持ちが嬉しくて、ハンドクリームを手に塗った。
今日は良いクリスマスになりそうだ。
今まではこうやってクリスマスを祝う事もなかったし、誰かとクリスマスのプレゼントを交換したりすることもなかった。
こんなにウキウキする気持ちになったり、嬉しい気持ちになったりすることもなかった。



