【完】さつきあめ


たとえ嬢とお客さんという間柄であっても、やはり相手に喜んでもらう姿は嬉しい。
クリスマスソングが流れる店内。
イブは光とは過ごせないけれど、最高のスタートを切る事が出来そうだ。

お店はいつもと違う雰囲気。

黒服さんや、深海たちが昨日の夜からクリスマス色にお店を飾りつけてくれていた。
クリスマスツリーは12月になった瞬間から飾られていて、ホールの中央に大きな白いもみの木。それが電灯で照らされて、更にクリスマスムード一色になっていた。

店内もクリスマスソングで統一されていて、いつもはワンピース姿のキャストたちもサンタやトナカイといったクリスマスのコスプレをしていて、それが一層ホールを華やかに彩っている。

「あ、綾乃ちゃん、おはよう!」

「さくら、おはよう」

綾乃も同伴だったのだろう。
ちょうど更衣室で着替えているところに遭遇する。
綾乃はスタンダードな赤のサンタのコスプレではなく、黒いサンタのコスプレ衣装に着替えていた。
黒はよく綾乃ちゃんに似合っている。綺麗なラインの体をより一層引き締まらせて見せた。

「綾乃ちゃん、黒サンタかぁ、似合うね!」

「さくらも白いサンタさん、可愛いわよ。てゆーか、クリスマスなんて柄じゃないし、コスプレも大嫌いだから毎年毎年こんなイベント嫌なんだけど」

綾乃らしくて、笑った。
更衣室の鏡には、白と黒。対称的なサンタの衣装を着たわたしたちが並ぶ。

「あ、そうだ、綾乃ちゃん、これ」

「何?」

バックの中から取り出したのは、綾乃へ用意していたクリスマスプレゼントだった。
特に仲の良くしてもらってるキャストや、いつもヘルプに着いてもらっている女の子たちには心ばかりのプレゼントを用意していた。