【完】さつきあめ


「さくらちゃん、これ、クリスマスプレゼント」

「え?!」

照れ臭そうに差し出した袋の中には、とあるブランドのリップグロスが入っていた。

「可愛い~!」

「何あげたらいいかわかんなかったから。
何か無難に…。クリスマスの限定色って言ってたよ」

「センスいいです~!!本当にうれし~い!」

プレゼントにコスメを貰うのはありがたい。
職業上、何か欲しい物がある?と聞かれると、食べ物と答えることが多かった。
アクセサリーや、高級ブランドのバックなどもらってしまうと心苦しい。
だからいつも消えてなくなるものを好んだ。

安井がくれたコスメは重すぎない値段のものだし、何よりクリスマス限定なんて女の子がいかにも好きそうで、センスがいいなぁって思った。

「あたしも安井さんにクリスマスプレゼントあるよ~!」

「わぁ!さくらちゃん本当にありがとう!」

日頃からお世話になっている常連のお客さんには、それぞれが好きそうな物をプレゼントとして用意していた。最近釣りが趣味という安井には、釣り用品を調べて買っておいた。

「えーいいのー?!こんな高価なもの!…なんか俺もっといいものあげれば良かった」

「いいんです、いいんです、日頃の感謝をこめてってやつです!
それにリップグロス超嬉しいし~!」

「ほんとさくらちゃんは優しいなぁ~!」