こんな恋人同士のような会話が出来る日が来るなんて。
正確には恋人ではないんだけれど、今までの関係性ならクリスマスもこんな簡単に誘えなかった。
クリスマスが終わったらデートだし、クリスマスも仕事が終わったら一緒に過ごせるし。
好きな人に好きだと言われるだけで、毎日はこんなにもかけがえのないものになるのだと思った。

「おはよーございまーす」

光と話してると、綾乃が入ってきた。
タイムカードを切って、光とわたしの事なんて見もせずに出て行こうとした。

それを制止したのは光だった。

「綾乃、顔色悪くない?」

人の変化には敏感な人だとは思っていた。
こちらを見た綾乃の顔色はいつもより真っ白で、言われて見れば顔色が悪く見えなくもない。
けれど、それに光が1番に気づいた。

「別に…」

わたしの方なんて見もせずに、すぐに綾乃に駆け寄り肩を掴む。
真剣な表情。ごく自然に綾乃へ触れる手。
何もない…。何もないのはわかってるのに、光は美優やはるなにだって触れる。そんな事はわかってるのに、どうして綾乃の事になるとこんなに気にしてしまうのだろう。

「やっぱり…お前ちょっと熱いわ。
熱あるだろ?」

「大丈夫だって!」

「大丈夫じゃねぇだろ。お前体弱いんだからさ。
深海、今日綾乃休ませて」

「ちょっと、何勝手に決めてんのよ!」

ごく自然なやり取りの中に、2人の親しさを見る。
それがすごく怖かった。