「光って水色似合うよね?!」

「そぉ?」

選んだのは、夏の晴れた日のような青空みたいな色のネクタイ。
光はわたしに白が似合うと言ってくれたけど、わたしは光が水色がよく似合うと思った。
空みたいに豪快に広がる爽やかな色が彼にはよく似合う。

「何にしてもさくらからのプレゼントなら何でも喜ぶんじゃない?」

「へへ。だったらいいけどな」

好きな人のいる、初めてのクリスマス。
光の喜ぶ顔を思い浮かべたら、それだけで仕事も頑張れそう。
それは片思いの時とは違う安心感があった。

「さくら、おはよう」

お店に行ったら、光がちょうどシーズンズに来ていた。
バックで深海と喋っている。
わたしに気づいて微笑みを向けて、わたしは慌てて光に駆け寄る。
後ろから美優とはるながニヤニヤとした顔でわたしたちを見つめる。

「社長おはよう!」

どんな事があっても、きちんと線引き。
皆がいる前ではさくらと社長と呼び合う。
それでも必ず2人になった時にはわたしを夕陽と呼んでくれる光が好きだった。

「あらぁ、有明社長にはさくらしか見えてないのかしらね~?」

「ほんとぉ!あたしとはるな透明人間みたぁ~い!」

からかい口調で、美優とはるなが後ろから言う。

「はるなも美優もおはよう~!
なんだそれ~、俺はお前たち皆平等に可愛がってるぞ~!」

そう言うと、はるなと美優の頭を両手で強く撫でる。

「ちょっとやめて!セット崩れちゃう!」

「しゃちょ~!触らないでくださぁ~い!それはセクハラでぇ~す!」

きゃきゃとはしゃいでる美優とはるな。
わたしはバックに貼ってある売上表に目を通す。これもついつい癖になってるいつもの習慣だ。