「でもクリスマスって暇なのよね」

「あぁ~独身の人しか来ないしね~
家族や彼女いる人は絶対来ないもんねぇ~」

「え?そういうもん?だからクリスマスの営業メール皆いまいち乗り気じゃなかったのかぁ…」

「さくらのお客さんは年配の人が多いしね~!
でも安井ちゃんは来てくれるんじゃない?」

「うん!安井さんは24日も同伴してくれるって言ってた~」

「クリスマスにキャバクラってのもねぇ~…」

クリスマスやイベントごとは基本的に強制出勤が命じられていて、わたしたちは休めない。
勿論彼氏がいる女の子たちもお店に出勤だ。

「でもさくらは同じマンションだし、ちょっとは一緒にメリークリスマス出来るねぇ~羨ましい~あたしも彼氏とクリスマス過ごした~い!!相手がいませんけどね!!

ね、社長喜んでくれるといいね?」

今日、いつもより早めに集まったのには理由がある。
それはわたしの横に置いてある、紺色の袋だ。
光へのクリスマスプレゼント。
男の人にクリスマスプレゼントをあげるなんて初めての事で、何をあげたらいいかなんてわからなかった。そこではるなと美優に頼んで見立ててもらったのだ。

紺色の紙袋に、クリスマスらしい赤いリボンが結んである。
光の趣味や欲しい物なんていまいちわからないから、いつも光が身に着けているジャケットやスーツのブランドのお店に行って、無難に仕事にも使えるネクタイにした。