「てゆーかお会計!!
光払ったでしょ?!今日はあたしが全部支払う予定だったのに!ごめん」

「いいって、俺あの中で1番立場上だぞ?部下に払わすとか恥ずかしいし」

「でもさぁ…」

「いいから、具合いわりぃんだから、そんな細かい事は気にするな」

わたしが具合い悪い事に1番に気づいてくれて、同じペースでマンションまで歩いてくれる優しい人。
そんなところを、好きになった…。
知れば知るほど、この想い無くなっていくどころか、大きくなっていく一方で、どうにもならない関係をもどかしく感じる。

マンションに着いて、わたしをベッドに横にならせて、光はコンビニで買ってきたポカリや水を冷蔵庫に入れていく。

その姿をベッドから見つめるだけで、涙が出そうになるんだよ。

愛しい人を愛しいと思う感情は誰が見ても美しい事なのに、どうしてこんなに切ない気持ちでいっぱいになるんだろう。

横になるわたしのベッドの片隅までやってきて、腰をおろし、優しい瞳をこちらへ向けながら頭を撫でる。その大きな手さえ、わたしの物には決してなってはくれない。
時間を止める魔法をわたしがもしも持っていたのなら、このままふたりだけの時間を永遠に止める事が出来るのに。

「クリスマス終わったらどこに行こうか?」

「普通の事がしたい…」

「普通の事?」

「街歩いたり、映画見たり、洋服見たり、ソフトクリーム食べたり…」

「ソフトクリーム?冬なのに?」

「んじゃ、パンケーキ食べる」

「ははっ結局何でもいいんじゃん」

そう何でもいい。
何をするかよりも誰と過ごすかの方がよっぽど大切なのだから。