【完】さつきあめ

身震いがした。
THREEのナンバー1の凛。
先月の売り上げは6位だったが、毎月全店舗の中でも3位以内には入ってると聞いた事があった。
今月の1位はもちろんONEのゆりで、2位は双葉のママだった。
3位はこれまた双葉へ移籍したレイで、その勢いは全然衰えていないとさえ感じた。
そう考えれば、全店舗の売り上げを伸ばしてる女の子たちに注目をされている気がして、途端に怖くなってしまった。

「いや、別に…あいつはそんな怖いやつじゃないって」

「そういえば社長来年からTHREEは担当じゃなくなったって?」

その横で、思い出したようにはるなが口にした。

「え?そうなの?!」

光は今、系列の4店舗を総括して担当している。
だから全店舗の売り上げや女の子の事もチェックしていかなくてはいけない立場だった。
相当重労働で、社長ってやつも大変なんだなと思っていた。

「まぁな、原田がONEの店長から部長になるから」

「原田さんが?!」

「えぇ?!原田さんなの?!また深海さんじゃないんだぁ…くやしー…」

「深海は出世欲がないからなぁ。あいつの悪いところだと思ってる」

話しが全然見えなかった。

「じゃあ、原田さんと社長でお店わけるってこと?」

「うん。会長が1年後に大きな店出したいって思ってるらしくて、その兼ね合いでね。
俺が今まで通りシーズンズとONEを担当して、原田さんがTHREEと双葉を担当することになったんだよ」

双葉も、ということはレイと光もあんまり会わなくなるわけだ。
それに少しホッとしていた。
レイとは全然会わなくなったけれど、レイが光を諦めたなんて到底考えずらかったからだ。