街はクリスマス色に染まる。
そこかしこからクリスマスソングが聴こえてきて、煌びやかなイルミネーションが街を彩っていく。吐く息も白くなっていって、どことなくすれ違う人々は楽しそうに見えた。

12月。シーズンズが入っているビルの大きな看板は変わった。

白いネオンが照らす光りの下で、作られた笑顔を向けた自分を見つめる。
大きな看板の中央で笑っているのはわたしだけど、わたしではない人。

夜の光りに包まれて、ぼんやりとその光景を眺める。きっと気難しい顔をしていたのだろう。

「なぁに自分の看板小難しい顔して眺めてるんだよ」

振り向いた先に居た光が笑ってこちらへ駆け寄ってきた。
冬の風にさらされていたせいだろうか。光の頬が、いつもより少し赤い。
隣に並んで、再びビルの中央に飾られている看板に目をやる。

「なんだか、違う人みたいで、変な感じ」

「あぁ、何かこの写真写り悪いよなぁ…」

「悪かったわね、ブスで」

「いやいや実物の方がずっと綺麗って意味」

「よく言うよ」

「マジで。それよりこれから同伴か?」

「そうだよー」

「お。さすがナンバー1様!12月に入ってからますます順調なことだな。ほとんど毎日同伴してるじゃないか」

「お陰様で、メディアの指名も増えたのでねー」

毎月の時給は前月のポイントがスライドされて決まる。
今月の時給を見て、目が飛び出そうな位驚いた。それだけの売り上げを上げていたということだけど、ここまで実力社会だと逆に笑えてくる。

わたしは1時間いるだけでうん万という価値がつけられるのだ。