【完】さつきあめ

「毎日毎日頑張ってるみたいだな。高橋はぐだぐだ言ってたけど、なんだかんだ嬉しそうだった…。深海はああいうやつだから口には出さないけど、心配してるだろう…」

「うん。頑張ってるっていうか。お客さんが頑張ってくれてる…。
ほら、光がどうしてもお客さんにしたいって言ってた桜井さんっていう社長さん!あの人すっごいよ!毎日来て、すっごくお金使ってくれてる。こっちが心配になっちゃうくらい!」

「桜井さんはONEや双葉にも付き合いでは来てくれるんだけど、個人的に女の子に会いにくるってタイプの人間じゃないんだ。俺の中では、そういうイメージ。
でも…お前は…俺が驚く事を平然とやって見せてくれるな」

少しだけ首を傾げながら、真剣な表情を浮かべ、見つめる。
冷たい風がふたりの間をすり抜けていくけれど、全然孤独なんかじゃなかった。

「この間も言ったけど、最初見た時から絶対化ける女だと思ってた」

「もぉ~…光は口がうまいんだからぁ~!この間からあたし褒められっぱなしだぁ…」

本当は嬉しかったくせに、恥ずかしくついつい顔を伏せてしまう。
光の真っすぐな言葉はいつもどこかくすぐったい。

「綺麗な女だと思ったけど、思ってた以上にずっと綺麗な女になって、人の心を掴む。
夕陽は………
いつかゆりを超えるだろうな」

「ゆりさん?!まさか…そんな…あんまりプレッシャーかけないでよ」

「ほんっとっ!
夕陽には華やかさの他にも優しさもあるし、常に相手の事ばかり考えてるんだよな。
自分本位な女の子が多い世界で珍しいよ…
桜井さんの心を掴んだ理由もちょっとわかるよ」

「もぉ~!もぉ~!そんなんじゃないってばぁ!照れるから、やめて!
さ、さては光あたしに惚れたな~?!」

冗談めかしてそう言ったら、光は全然笑っていなくて、平然と答えた。

「とっくに惚れてるよ」