【完】さつきあめ

この人を飾り立てる全てが高級品なのだろう。
全然起きる気配のない朝日に呆れ返っていると、リビングへ続くであろう扉がゆっくりと開かれていく。

「朝日…?」

小さく彼の名を呼ぶ声
扉の開かれた先に立っていた女の姿を確認して、ごくりと生唾を飲む音が自分の中で聞こえた。
どんどん早くなる動悸。知らず知らずにじんわりと額に汗が湿っている。

真っ白な肌の、モデルのように手足の長い均等のとれた体。
栗色の長い髪、気の強そうな眼差しをしている、まるで動く人形のような彼女は…。

「あぁ、ゆり、来てたのか」

光がゆりと呼ぶ、その人こそがONEのナンバー1で、朝日の本命の彼女と噂されるその人だった。

「社長…!びっくりした…。
どうしたの、朝日と飲んでたの?携帯に何度も電話したのに、全然繋がらないんだもの」

甘い声色で話す、その人の声を初めて聞いた。

「あぁ、一緒に飲んでたんだ」

「あんまり飲みすぎないように言ってるのに…」

朝日に駆け寄ると、綺麗にネイルされた指が自然に彼の体に伸びていく。

朝日の体に手をかけて、光のすぐ後ろにいたわたしと美優の顔を交互に見て、少し険しい顔をした。

「社長、誰?」

「シーズンズの女の子だよ。一緒に飲んでた時に偶然宮沢さんに会った」

「シーズンズなんだぁ。ふぅん」

シーズンズ、と聞いて、少し小馬鹿にしたかのように笑った。
きつめの美人が好き、そう言っていた朝日の言葉通り、ゆりは気の強そうな美人で、初めて会った時から嫌な感じのする女だった。
わたしが思っていた人と少し違う。