【完】さつきあめ

後部座席、酔っぱらった朝日はわたしへともたれかかっていた。
ずっと手を握られているから、本当に寝ているのか、起きているのかさえわからなかった。
けれど眠りにつく無防備な朝日は…いつも見せる強気な宮沢朝日とは少し違って見えた。

「社長ー!どういう事なのよぉ!!」

「知るか」

「なんなのぉ!!!」

起きる気配全くなしで、朝日の家の前に着いた。
光とわたしで朝日を抱えて、その後ろを美優が着いてくる。

美優はさっきからしきりにスゲースゲーと繰り返している。それもそのはずで、わたしもさっきここに着いた時にびっくりした。
光の住んでいるマンションも、わたしには十分高級マンションに見えた。けれど朝日が住むマンションはその比ではなかった。外観から高級感溢れるのは一目瞭然で、朝日はこのマンションの最上階に住んでいるという。
…こういうマンションって階数があがるごとに家賃が高くなるんだっけ…。

光は慣れているようにオートロックの解除をした。
まるで普段から行っている作業のように自然だった。

最上階までエレベーターで上がり、手早く部屋のロックを解除する。

「ねぇ、会長と社長って後ろから見るとちょっと似てるね」

美優が小さな声で耳打ちした。
…確かに。
長身で痩せ型。髪形や着ている洋服は違っていたが、背格好がこうして見るとよく似ている。
朝日を玄関でおろすと、倒れこむように床に転がった。
しかしすごい家だな…。その広さといえば玄関に入るだけでわかるほどで、素人のわたしから見れば何かわからないような高級そうな絵や、装飾品が飾られていた。
シンプルな光の家とは全然違う。