【完】さつきあめ

光は無言のまま、ワイングラスを持ってきて、朝日に注ぐ。

「会長~さっきの女の子いいの?
めっちゃ綺麗な子ですねぇ~」

「綺麗だよな。18歳のちっせースナックで働いてる女」

可笑しそうに一気にワインを呑み込む。
なんていうか…生き方も、性格も、ワインの飲み方さえ、強気な男だと思う。
空っぽになったグラスに片手でワインのボトルを持ち、なみなみに注ぐとそれもまた一気に煽る。

「いいんですかぁ?あんな風にしちゃってぇ」

「いいのいいの、どーせ金目当てで俺にくっついてるような女だから。
それより有明ぇ、自分の店の女引き連れて楽しそうだなぁ?」

「えぇ、ちょっと仕事の相談に乗ってただけです」

挑発的な朝日に比べ、光はえらく冷静だった。
本当に正反対なふたりだ。

「ふぅん…。
さくらぁ、相変わらず俺の電話にでねぇなぁ?!」

この人、酔っぱらってる…。
いつも質が良い方ではないが、酔うと更に質が悪いと来てる。
もちろん、美優はわたしと朝日の関係なんて知らないわけだから、その会話を訝し気な顔をしながら聞いている。

「俺の電話は出ねぇくせに、有明と酒は飲むんだな、お前は」

「や…最近仕事が忙しくて出れませんでした…」

「シーズンズなんて辞めちまえって。金が欲しいなら俺んとこに来ればいいだろ?」

「あの、あの、本当に困るので…」

美優は何の事情も知らないんだ。これ以上余計な事を喋るのはやめていただきたい。