【完】さつきあめ

ゆっくりと顔を上げると、キャバ嬢らしき派手な女の子を連れた朝日が目の前でニヤニヤと笑っている。
隣にいる女はわたしと美優を交互に見て、あからさまに不機嫌な態度になる。
この間街で偶然会った時も違う女の子を連れていたし、今日も別の女だし、こうやって色々な女の子を連れまわして遊び歩いている朝日に、ゆりは何も言わないのだろうか。
会った事もない、あの綺麗な人を思い出していた。

「あ…宮沢さん…」

そこにトイレから帰ってきた光が現れて、途端に朝日の表情が険しくなる。

「朝日ぃ、誰?早くいこ」

隣にいたキャバ嬢風の女が急かすように朝日の腕を引っ張る。
ナイス!面倒な事が起こる前にどうかその男をどこかへ…。
わたしのその願いも空しく、朝日は自分にまとわりつく女の手を乱暴に離した。

「お前、もう帰っていいよ」

「はぁ?!何それ?!朝日が呼んだんじゃん」

「たった今、必要じゃなくなった。
帰れ」

容赦なくそんな言葉を投げつける、こんな男を何故女は選ぶのだろう。
死ね、と吐き捨てて女は店を後にする。

「あんまり女の子に乱暴な事すると刺されちゃいますよ」

「中途半端な優しさで女を追い詰める男よりは数倍マシだと思うけど?」

朝日は無理やり美優を向かい側の光の隣へ行くように言い、当然のようにわたしの隣に腰をおろす。
あぁ、気まずい。一気に酔いが回ってきそうだ。いや、こういう時はいっそう酔ってしまった方が楽なのかもしれない。