【完】さつきあめ

「そうそうそれで困ってるんだってぇ、社長、なんかいいところない?」

「美優ちゃん、その話はもういいって…」
美優が一度来てみたかったの!と言って連れてきたお店はこじゃれたレストランバーで、高そうなワインが所せましと飾られていた。
遠慮なく頼んだ料理も美味しくて、一杯何万とするワインも美味しくて、光だけが破産するーと嘆いていた。

話はわたしの引っ越しの事だった。

「でも俺さくらのレトロなアパート良いと思うけど」

さっきまで夕陽って呼んでいたのに、ころっとさくらと変わるあたり
やっぱり光は光なんだなぁって考えていた。

「えぇ!?社長さくらの家に行ったことあんの?!
やっぱりデキてんじゃん…」

「おー!朝まで一緒に過ごしたもんなぁ?」

「ちょっとやめてよ!家の前まで送ってくれた事があるだけでしょ?!誤解を招くような言い方をするのはやめて!!

でも引っ越しをしたいのは本当。
別に暮らせるし、交通の便が悪いのは嫌だけど、あのアパートオートロックもないし、物騒ちゃー物騒なんだよねぇ…」

「あー…まぁ、こういう仕事してると変な客もいるしな
俺の知ってる女の子も住んでる家とか特定されて、客がストーカーになったなんて話も結構聞くからなぁ…」


「きゃーこわいぁい!あたしも気をつけなくちゃぁ!!社長引っ越し資金だしてぇ~!」

「美優は実家だからまぁ大丈夫だろ」

「ほんっと、あんたあたしには冷たいよね~!!贔屓贔屓~!」

「不動産の社長やってるお客さんとかが紹介してやろうかって言ってくれたりもするんだけど、信用してないわけじゃないけど、なんか怖いかなぁ~って!
でも普通の不動産会社に行ったら、飲み屋の仕事してる子はダメってところが多くて…。
どうしようかなぁって感じ」

「さくらはどんな家がいいの?」