光と綾乃の関係を疑い、朝日と色々あった夜から
わたしは光だけの為にこの場所に立っているんじゃないと気づいたのだ。
悔しいけれど、朝日のおかげで気づかされた。
わたしは光のために戦っているのではなく、自分のために戦っているのだ、と。

「さくらは本当にすげぇな」

「何、いきなり」

「いや、感心してるんだよ。本当に綺麗になったと思うし、レイの事があったから正直もうだめかなって思ってたけど、レイがいなくなって何かまた雰囲気変わったよな」

「はいはい、ありがとう」

高橋の言葉を軽く受け流し、「あとでね」と行ってお店を出ようとした。

「さくら、おはよう」

丁度お店の入り口で、光に会う。
光はいつものように完璧な立ち振る舞いでわたしへ笑顔を向けた。
街中で朝日にキスをされている時確かに目があった。
あの日から、その出来事には何ひとつ触れず、いつもと変わらない笑顔を見せる。
もうわたしはその事に関して何も思わないように心がけていた。

「社長、おはようございます」

「今日の髪形も可愛いね」

「ありがとう」

「今から同伴?」

「はい、同伴です。今日は指名も5組は確定してるから」

「おー、本当にさくらはすげぇなぁ。 何か最近前にまして綺麗になったね」

誰にでも言ってること。 そんな言葉に心は惑わされない。