「さくらが欲しいから」

「あたしは…あなたなんか好きじゃない」

「勘違いすんなよ、お前が俺を好きだろうが、嫌いだろうが関係はない。
俺がお前を気に入ってるから、お前を手に入れる。それだけだ。
俺の女になれば店なんて辞めようが続けようが関係ねぇ、お前は好きな家で暮らして、俺のカードで自分の好きなもんを好きなだけ買って、俺の好きな時に俺の玩具みたいに抱かれてりゃいい。
お前らみたいな馬鹿な女はそれで満足だろ?」

そう言い放った朝日の瞳はとても冷たいものだった。
唇をなぞっていた指が再び顎を掴み、またキスをされてしまうかと思い、反射的に朝日の手を強く振り払っていた。

「あたしは玩具なんかじゃない!
それに…あなたには…ONEのナンバー1がいるじゃない」

そういうと、さも可笑しそうにククッと低く笑う。

「ゆりの事か」

「だってあなた、あの人と付き合ってるんでしょ?
なんであの人がいて、あたしにまで手を出そうとするんですか…」

朝日はソファーに深く座り直し、重そうなジッポで煙草に火をつける。
ちらりとこちらへ視線を移す。

「俺がお前に手を出してるってゆりが知れば、あいつは全力でお前を潰しにかかるだろうなぁ」

まるで他人事のように、怖い事を言って見せる。


「やめてくださいよ…
何であたしに関係のないことで潰されなきゃいけないんですか…」

「あいつはそういう女だからさ。
お前とは全然違う女だ。欲深くて、嫉妬深くて、俺の金も俺の愛情もあいつは全部自分が1番じゃないと気が済まないんだ。下らない相手だったら相手にもしねぇだろうけど、俺がお前にこうやって手を出してるって知ったら大変だろうねぇ」

「何で…あたし…」