【完】さつきあめ

なんて、醜いのだろう。

光もしゃがみこんで、うずくまるわたしの背中を優しくさする。
優しくなんてしないで、でも見放さないで、好きになってくれなくてもいい、でも本当は好きになってほしい。あなたの優しさを全部独占したい。
矛盾した感情ばかり、ぐちゃぐちゃの心にめぐる。

「夕陽、ごめん。
俺前にも言ったけど、お前の気持ちは受けいれれない」

「光はあたしが嫌いなの?」

「嫌いじゃない…」

「それって好きでもないってことだよね…」

「夕陽…そうじゃなくて」

「好きでも嫌いでもないって、1番きついかな…
好きじゃないなら、2人で出かけたり、家に来てって一緒にいたいなんて言わないで…」

震える足でやっと立ち上がった。
けれど目の前の光は立ち上がらなかった。
しゃがみこんだまま、何か言いたげな瞳で、こちらを見つめていた。
光はいつも言いたいことを呑み込んでいた。それに気づけなかったのは、いつもわたしの心に陰りがあったからなの。結局は自分の事ばかり考えていた。

光は追いかけては来なかった。

ふらふらとおぼつかない足で歩くネオン街がぼんやりと歪んで見せて、自分が泣いているのに気づいた。

綾乃とナンバー1を争うって気合いをいれたのに…
無理、絶対に無理。馬鹿みたいに溺れていくわたしを、2人は影で笑ってるんだ。
じゃあ、わたしは何のためにナンバー1になるの?
自分で決めたことなのに、自分の気持ちが1番わからないよ。