けれどもう自分を見失うのはやめたの。
自分のために戦ってる以前に、わたしの仕事は目の前のお客さんを楽しませること。
綾乃がVIPルームを利用することは珍しいことだった。
彼女の客層はこぞってVIPに入りがった。それを今までの綾乃は制止していたかのように思える。
VIPは普通の席料プラス利用料が取られる。お客さんに出来るだけお金を使わせない誠実な接客が、綾乃を信頼しきっているお客さんなら、本気になった綾乃にお金を使わないはずがなかった。指名を被らせるようにもなったし、それをスマートに対応していて、文句のいう人は誰もいなかった。
そして綾乃のお客さんも、綾乃自身もヘルプにはすこぶる優しい。枝で連れてきたお客さんを女の子にチャンスをあげるような女の子だった。わたしも何人か、綾乃のお客さんを枝でもらっていた。
経験と元から持っている綾乃の性格。
まさに完璧で、シーズンズにいるのがもったいない、そう言ったいつかの誰かの言葉を思い返していた。
「小笠原さん、ごめんなさい~、VIP空いてなくってぇ」
「はは、たまには良いよ。VIPが埋まってるってことは景気が良いってことで
たまにはホールで飲むのも色々な女の子が見れて新鮮で楽しいよ」
「ありがとうございます」
「なんかさくらちゃんも変わったね」
「え?」
小笠原の言葉に、不安が渦巻く。
「いや、いや、変わったって言ったのは悪い意味ではなくてね。
この間の君はなんか疲れて見えて、やけになってお酒を飲んでる感じがあったかな」
レイと争っていた時だ。
レイのことばかり見て、全然周りが見えていなかった。人の事をよく見てるこの人には全てお見通しだったのだろう。
「いまは良い意味で、一皮むけたっていうのかな?
ちょっとプロらしくなってきた」
「プロって~!
なんか嫌です、その言葉!なんか仕事をこなしていくうちに自分が変わっていくみたい…」
「いや、本当に悪い意味でなく、ね。
背筋がのびて、良い感じだよ」
自分のために戦ってる以前に、わたしの仕事は目の前のお客さんを楽しませること。
綾乃がVIPルームを利用することは珍しいことだった。
彼女の客層はこぞってVIPに入りがった。それを今までの綾乃は制止していたかのように思える。
VIPは普通の席料プラス利用料が取られる。お客さんに出来るだけお金を使わせない誠実な接客が、綾乃を信頼しきっているお客さんなら、本気になった綾乃にお金を使わないはずがなかった。指名を被らせるようにもなったし、それをスマートに対応していて、文句のいう人は誰もいなかった。
そして綾乃のお客さんも、綾乃自身もヘルプにはすこぶる優しい。枝で連れてきたお客さんを女の子にチャンスをあげるような女の子だった。わたしも何人か、綾乃のお客さんを枝でもらっていた。
経験と元から持っている綾乃の性格。
まさに完璧で、シーズンズにいるのがもったいない、そう言ったいつかの誰かの言葉を思い返していた。
「小笠原さん、ごめんなさい~、VIP空いてなくってぇ」
「はは、たまには良いよ。VIPが埋まってるってことは景気が良いってことで
たまにはホールで飲むのも色々な女の子が見れて新鮮で楽しいよ」
「ありがとうございます」
「なんかさくらちゃんも変わったね」
「え?」
小笠原の言葉に、不安が渦巻く。
「いや、いや、変わったって言ったのは悪い意味ではなくてね。
この間の君はなんか疲れて見えて、やけになってお酒を飲んでる感じがあったかな」
レイと争っていた時だ。
レイのことばかり見て、全然周りが見えていなかった。人の事をよく見てるこの人には全てお見通しだったのだろう。
「いまは良い意味で、一皮むけたっていうのかな?
ちょっとプロらしくなってきた」
「プロって~!
なんか嫌です、その言葉!なんか仕事をこなしていくうちに自分が変わっていくみたい…」
「いや、本当に悪い意味でなく、ね。
背筋がのびて、良い感じだよ」



