「おはよー!」

「あ、光、おはよう」

次の日、同伴のために早めに出勤すると偶然光と街で会った。
結局は狭い繁華街でどこへ行っても偶然誰かに会ってしまうのはよくあることだった。けれど昨日の今日で光にすぐに会えるのは偶然でもわたしにとっては良い日だった。

「だいじょ~ぶか?体」

いつも通りの会話といつも通りの笑顔で、光はわたしの頭をくしゃっと撫でた。
昨日様子がおかしかったから、いつも通りの光を見て安心した。

「だいじょ~ぶ!これから小笠原さんと同伴なんだー!」

「お、いいなぁ。うまいもん食わせてくれるんだろうな、小笠原さん」

「なんか知り合いの人が経営してるイタリアンだって。
カルボナーラが美味しいらしいよ、食べログ見てチェックしちゃった」

「お、イタリアンか。いいなぁ。
て言っても実は俺貧乏舌だからチェーン店の安いパスタでも十分美味しかったりして」

「えー!あたしもだよ!!」

そんな何気ないことを話せるようになって良かった。
気まずいような空気を取られたら、ここにいる意味がなくなってしまう。
恋人になんかなれなくてもいい。これ以上欲張りなことなんか言わないから。ただ片思いでもいいから光の側にいて、光とふざけあって話せる関係でいたい。