「なぁ、夕陽。今日仕事休んじゃえば?」

「え?」

「昨日お前店でぶっ倒れたのは皆知ってるし、俺から深海に連絡しといてやっからさ」

「でも…駄目だよ、そんなの…。お客さんにも悪いしさ…」

「お前は真面目に仕事しすぎなんだよ!
気ぃばっかはってねぇで、たまにはぱーっとストレス発散しよう!
どこか遊びに行こっ!」

そう言って、携帯を取りだし、深海に連絡する。
変なところは強引で、頑固なんだから。
昨日振ったばかりの女に、優しかったり、ますます光の事がわからなくなる。
わたしは光のお店で働いていて、光にとっては商品なんだ。 だから光はいつだって優しくしてくれる。…でもさ、それじゃあ中々好きな気持ちを消すことも出来そうにない。

「わぁ~!お祭りだぁ~!
ねね光!あれ食べたい!あれもあれも!」

「ほんと元気だな…昨日倒れたとは思えないや」

夜に生きるわたしたちが、陽の光を浴びて遊ぶのは珍しい。
関東に引っ越してきてから、こっちらしい場所は行ったことがないと言うと、ザ、観光地の浅草に光は連れてきてくれた。


「こっちは平日なのに、どこも人がいっぱいだね…」

「まぁ観光地だからなぁ…。東京に遊びにきた人が行くとこって大体同じだろ。
それにしても人すげぇな…吐きそう」

「光!あそこに抹茶ある!飲みたい行こ!」

「本当に元気な奴だな!」

光の腕を引っ張り走り出した。