「ひ、かる……」

潤んでいく瞳が重なり合うように合った瞬間に、光は大きく目を見開いた。
見開いた、と思った瞬間に光はバッとソファーから慌てて身を離す。
大きく目を見開いたまま、後ろへ後ずさりした光の身体中が震えていた。

「光？！」

額に汗が浮かび、震える両手を見つめながら、浅い呼吸を繰り返した。

「光？！どうしたの？！大丈夫？！ねぇってば！」

手を伸ばしたら、それは来るなというような鋭い視線で拒否されたのがわかった。

「俺のことを…好きにならないでくれ…
夕陽は…シーズンズのナンバー１になんてならなくていい…」

その言葉は触られるのを拒否されるより悲しい言葉だった。
俺のことは好きにならないでくれというくせに、光は震える手をわたしの手に重ねてきた。
何かから逃げるように怖がる光はまるで小さな子供のようで、好きにならないでくれという言葉のショックよりも、そんな光のことを放っておくことが出来なかった。

それから何時間過ぎたんだろう。

寄り添い合っているうちに眠ってしまっていたようで、目を覚ましたら光がわたしの寝顔を見つめていた。