「まいったな」

光は頭を抱え、ソファーに寄りかかってしまう。

「ねぇ、光あの人変なんだよ?!あたしがナンバー1になりたいのどっかで聞きつけて、俺の力でしてやるとか言ってさ。自分のお店の女の子にお金なんか使ったって何の意味もないじゃない?!」

「それが宮沢朝日のやり方だから。
気に入った物なら金でも地位でも何でも使って、手に入れるっていうのがあの人のやり方だ」

「え?!
あたしって会長に気に入られたの?!」

じぃっと目を細めてわたしを見つめる光。

「だろうな」

気に入ったものなら、何でも使って手に入れる。
さっきの光の言葉に背筋が凍りつく。あの人を掴んで離さないような強い瞳も、抱きしめられた強い力も、あの人の香りも、全部嫌いだった。
全部、全部、いつかあの人に支配されてしまいそうなくらい、あの人の持つすべてのものが強いんだ。いつか自分の気持ちさえ浸食されてしまいそうな。

「ねぇ、光…嫌だよ…あたし、やだ…!!」

「夕陽…」

「あたし、光のことが好きなの………
だから、シーズンズでも1番になりたかった…レイさんに負けたくない…」

その言葉が出た瞬間、光は強く強くわたしを抱きしめた。
その力強さは朝日に似ているとふと思ったけれど、光の匂いに抱きすくめられて、そのまま強く抱きしめ返した。
そして少し体を離して、光はわたしへと深いキスを落とした。
音のない部屋で2人の息遣いだけが聞こえる。光は両手でわたしの髪から撫でるように全身を指でつたい、何度も何度もキスをした。
とろけてしまうほどの幸福が体を突き抜けていく。それはまるで夢のような時間で、わたしの体をソファーに押し倒し、光はもう一度深いキスを落とす。