【完】さつきあめ

「あ~…深海?
適当にフルーツ盛り合わせと
アルマンドとワインでも何本か適当に持ってきてよ」

「…なんなんですか…いったい…」

一体なんだというのか。
あの深海もよっぽど頭が上がらないというのだろうか。
ぺこぺこ頭を下げながら、高級なボトルがあっという間にテーブルに10本並んだ。

「こんなに頼まれたってあたし…飲めません…」

朝日はフルーツ盛りのぶどうを一粒乱暴に引きちぎり口に運び、卑しい笑いを浮かべた。
そして1本のシャンパンを開けて、その瞬間、大きなアイスペールの中にぶちまける。
炭酸の音が響いて、小さな泡粒はゆっくりと消えていった。

「?!」

「飲め、なんて一言も言ってねぇよ…」

もう一粒ぶどうを引きちぎり、無理やりわたしの口に押し付ける。
ひりひりとした酸味が口いっぱいに広がっていく。
‘怖い’シンプルに感じた。
朝日はもう一本開けて、アイスペールにシャンパンを流していく。けらけらと笑いながら、それはまるでゲームを愉しむかのように。

「レイに勝ちたいんだろ?俺が勝たせてやるよ」

踏ん反り返り、そう言い放つ。

「何で…あたしに…」

「有明の大切にしてるもんは全部ぶっ壊してやりてぇんだよ」