「平等なんかじゃないよ」

「…」

「さくらに金を落とす客を優先するのは当たり前だ。
違う金額落としてるのに平等にしたら客だっておもしろくねーじゃん。
お前は甘いんだよ」

「けれどっ！
あたしに会いに来てくれるお客さんは…
あたしはお客さんに順位はつけたくない…。だって皆大切なんだもの…」

「順位をつけられる仕事をしてるのに、矛盾してるよ」

高橋は変わったような気がする。
わたしと高橋では価値観が違いすぎる。
確かにわたしの考えは水商売をやっていく上では甘いと言われるのかもしれない。
順位をつけられる世界にいる以上、結果がすべてだとは子供じゃないからわかっている。その過程がどれほど綺麗であっても、結果が出なければそれは何の意味も得ないことだったなんて…。


「おはよう！高橋、さくら！」

険悪なムードでいると、お店に入ってきたのは光………と。

「おはようござぁいまぁすっ！」

光の後ろからひょっこりと顔を出す。
身長は１５０ちょっとくらいだろうか
光の影にすっぽりと入ってしまうくらい華奢なその女の子は犬のように人なっつこい雰囲気と笑顔を見せた。


「今日からシーズンズに入る、レイだ」

「レイでぇ～す！よろしくお願いします～！」

レイと呼ばれる女の子は金髪に近い茶色の長い髪で
お人形さんのような可愛らしい顔をしていた。シーズンズではあまり見かけないタイプだ。

「高橋、お前担当になれ。レイはちょっとすごい子なんだ」