聞き耳を立てるつもりはさらさらないが、聞こえてしまうのは仕方がない…と思う。
「だから、ごめんって言ってるじゃん…」
「…」
「ねぇ、なんとか言ってよ…」
涙声でそう訴えかけるのは、黒髪ロングの清楚系女子。
見た感じ二人は付き合っているのだろうけど、意外すぎるカップルだ。
だって、清楚彼女に対して彼氏はあの佐渡佑都だ。
佐渡佑都と言えば、喧嘩、タバコ、酒、泣かせた女は数知れずと言われるほど。
女泣かせの佐渡というダサい悪名の持ち主。
なるほど、あの女の子も佐渡佑都に遊ばれたとみれる。
うーん…ひどい話だ。
そんなことを思いながら、私は必死に息を圧し殺す。
もしここで見つかれば佐渡佑都によって私は八つ裂きにされるかもしれない、
それだけは絶対に嫌だ。
「ねぇ、佑都…聞いて…」
「俺はお前と話すことなんてねーよ。」
ため息混じりに面倒くさそうにそう言い放った。
な、なんて男だ…
あまりの言いぐさに私は絶句してしまう。
「私たちもう無理なの…?」
「自分から裏切っておいて無理なのってなんだよ、ねーよ。
とっととあいつに慰めてもらえば?」
「…っもういい!」
最後は女の子の声で幕が閉じた。
教室のドアを勢いよく開け、廊下を駆けていく音が聞こえた。
しまった…!あの子が行ってしまったら私と佐渡佑都は二人きりだ!
お願い、佐渡佑都も教室の外に連れていって…!


