「か、かっこええな!! そのタトゥー!! 俺も背中に鳳凰入れてんねん!」

「和彫り? 悪いけど和彫りと着物は嫌いなんだよね。じゃあ、もう会うこともないと思うし恩に着なくていいから」

「ちょいちょいちょい待ってくれ!! 俺金持ってへんねん。頼む、降りた駅に俺送ってくれへんか? ロッカーに荷物入れてるからそこに金入っとるし」

「どこの駅?」

「あー、、え? なんやったっけ」

「じゃあね」

「頼むーーー!! 金ない人間こんなとこほっとかんといてくれーーー!!」


めんどくさいな、そう呟いた金髪の男はバイクの後ろに弦を乗せ、ヘルメットを渡した。

「なぁ、お前ん家泊めてくれんのか?」

何を隠そう、馬鹿とはこいつのことである。唖然とした男が口を開いた。

「…何言ってんの?! 素性もわからない奴を家に入れるバカがどこの世界にいるんだよ。知り合いのバーやってる奴に頼んであげるから、そこで大人しくしてなよ」

「あ…はぁ。すんません」


大人しく連れて行かれたバーは、こじんまりしてるけれど、どこか欧米風でお洒落だった。カウンターの中でカクテルを作る黒髪のパーマをあてたロングヘアの男に金髪の男が話しかける。

「ねぇ、やっさん、悪いんだけど金、俺払うからこの人朝までいさせてあげてくんない?」