「ハァ。今日は2人共かよ。」

ボッソッと呟かれた私の言葉が言い争いをしている彼らに届くことは無いだろう。

「なんで日直でもねぇのに矢田が居んだよ。..あッ!まさか2人して朝から密会ですか~?お熱いこと!ヒューヒュー」

「は?なにキモいこと言ってんの?頭おかしいんじゃない?お前こそなんでこんな時間に来てんの?いつも遅刻するくせに。」

「いつもじゃねぇし!しかもそれはお前も同じだろ?!」

「お前と同じにしないで。虫酸が走るから。」

「はぁ?なんでそこで虫達が走るんだよ!意味不明~!」

「お前なめてんじゃ「はい!終~了」ッおい!」

「2人共朝からうるさい!学校に何時に来ようが自由でしょ!遅刻するくらいなら毎日でも早く来い!自分を棚に上げてんなよ。黙ってられないなら今すぐ教室から出ていってもらっていいですか?勉強の邪魔。」

「なッ!」

「....。」

「鷹津。今日提出の宿題終わってんの?」

「..いや。まだ。」

「なら、宿題持ってこっち来て。」

私は隣の席の子の机を私の方に寄せ、そこに来るよう彼に促した。

「矢田くんは?終わった?」

「当たり前でしょ。」

「だよね~。ならこっち来て教えて!」

「は?なんで?嫌なんだけど」

「おしえて!」



「...ハァ」

彼には私の前の席に座ってもらう。


彼らが揃うとろくなことがない。
朝から天国どころか地獄に叩き落とされた気分だ。

「ッあ!鷹津、さっきの《虫's》じゃなくて《虫酸》だからね。受験生が間違えんなよ~!」