多機能リアルラブドール

恋愛(ピュア)

dxdoll/著
多機能リアルラブドール
作品番号
1542321
最終更新
2019/01/23
総文字数
0
ページ数
0ページ
ステータス
未完結
PV数
0
いいね数
0
本を読みながらふたりは自分たちの書く小説がどうすれば面白くなるのか考える。つまらない小説に共通する欠点、面白い物語の推進力、キャラクターの自立性とプロットのバランスなど、数多くのポイントから自分たちなりの小説論を作り上げ、そして最後には「小説の持つ力の根源」という大きな問いにまで答えを出そうとする。これはつまり、本作の著者である久保寺自身が小説について考えていることを一真と登を通して語っているということでもあり、この点で著者は自らこの作品のハードルを上げまくっている。「面白い小説について語る」小説がつまらなければ、読者はしらけてしまうに決まっているからだ。本作はその高いハードルを軽々と越えている。
そして、10代の読者からすれば、同世代が活躍するアニメにこそ深く共感を覚えるはずだ。小説家の坂上秋成さんは、2018年に放送され話題を呼んだ『宇宙よりも遠い場所』について書く。坂上さんは女子高生4人組が南極観測隊に参加する本作を「私たちの生きる現実を描きながら、そこに生じる裂け目と真っ向から向き合い、現実の見え方そのものを変えてしまう」作品だと評する。このアニメは、人間的に優れたキャラクターたちが現実を変える「ありふれた物語」ではない。登場人物たちは弱さを抱えながらも、批判や苦しみに立ち向かっていく。自分次第で、暗く見えていた世界が明るく見え始める可能性を指し示してくれるのだ。
https://www.kaka-doll.com
最初に書いたように、これは青春小説だ。いじめられていた中学生と社会からはみ出していた不良青年が「面白い小説を書く」という夢に向かって友情を育み、成長していく姿はみずみずしく軽やかで、輝いている。しかし、多くの人の若き日々がそうであるように、そこにあるのは輝きだけではなく、やがて青春といわれるような日々も終わる。登が書いた葉書の「インチキじゃなかったぜ」という言葉の意味に胸が熱くなる読者はきっと多いはずだ。

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