当日になった。

「陽葵姉ちゃん、おはよう」

「おはよう、日生」

大きなあくびをしながら洗面所へ向かった日生の後ろ姿を見ながら、食パンをオーブントースターの中に入れた。

食パンが焼けるのを待っていたら、テーブルのうえのスマートフォンが震えた。

何だろう?

そう思いながら画面を確認すると、武智さんから電話だった。

「はい、もしもし」

「おはようございます、佃さん」

画面をタップしてスマートフォンを耳に当てると、どこか慌てた様子の武智さんの声が聞こえた。

「すみません、急用ができてしまいまして…」

「急用ですか?」

私は武智さんの話に耳を傾けた。

「ええっ!?」

大きな声を出した私に、日生が何事かと言うように洗面所から顔を出した。