ラヴ・ミー・テンダー

その後で私と武智さんは事情聴取を受けるために、警察署へ向かった。

「佃さんが無事でよかったです」

事情聴取を終えると、武智さんは声をかけてきた。

「ええ、はい…」

それに対して、私は返事をすることしかできなかった。

私にあの手紙を送ったのも、自転車をパンクさせたのも、全部西田さんの仕業だった。

あのまじめで仕事一筋だった西田さんがそんな嫌がらせをしていたことが信じられなくて、私は何も言うことができなかった。

警察の話によると、私と別れた1週間後に勤務していた会社からリストラを言い渡されたのだそうだ。

リストラされた後はファミレスでバイトをしながら就職活動をしていたそうだけど、なれない仕事に苦しい生活、そのうえ就職活動もうまく行かないと言う悪循環に、西田さんは苦しんだ。