「景さんの過去に何があったとしても、景さんがどんな子供時代を過ごしていたとしても、景さんは景さんです。

だから…」

そこで言葉を区切ると、
「これから先の景さんの人生を、私にください」
と、言った。

「陽葵さん…」

武智さんの両親の分まで愛す…と言うのは、我ながら言い過ぎなのかも知れない。

でも、彼が寂しい思いを過ごした時間もこれから先の人生で埋めていくことができればいいなと思っている。

この先の武智さんの人生が幸せであふれていて欲しいと、私は願っている。

「はい」

武智さんが返事をした。

「俺も陽葵さんと一緒にいたいと思っています」

そう言った武智さんに、私の心臓がドキッ…と鳴った。

武智さんは今にも泣きそうな顔をしていた。