「ただいまー」

家に帰ると、カレーのいい匂いがした。

武智さんは帰っている。

キッチンに顔を出すと、
「お帰りなさい」

武智さんが迎えてくれた。

洗面所に行って手を洗ってキッチンへと戻ると、
「何かやることある?」

武智さんに声をかけた。

「皿を出してくれないか?

今日はカレーだから深皿のヤツを」

「はい」

私は返事をすると、食器棚から白の深皿を2つ取り出した。

すでに炊けていた白いご飯を深皿に盛ると、できたてのカレーを装った。

2人で椅子に腰を下ろすと、
「いただきます」
と、両手をあわせて食事を始めた。

美味しそうにカレーを食べている武智さんのその顔を見つめると、
「景さん」
と、私は彼の名前を呼んだ。