翌日、私は武智さんがいる『サイクルショップ コイケ』を訪ねた。

「見つかりましたか?」

私は差し入れとして武智さんにペットボトルの麦茶を渡した。

「それが…」

武智さんは私の手から麦茶を受け取ると、息を吐いた。

その様子だと見つからなかったみたいだ。

「どこ行ったんだろ…」

武智さんは麦茶を口に含んだ。

「接客業をしているとクレーマーに絡まれることはよくあるみたいですけれど、今回のは相当ひどかったみたいです」

「お察しします」

武智さんは息を吐くと、
「あの、弟さんは?」
と、聞いてきた。

「こっちにいる友人と遊びに出かけています」

私は武智さんの質問に答えた。

「そうですか」

武智さんが返事をした時、
「あの…」

お客さんがやってきた。