「バカを言ってるんじゃないよ…」

ただでさえ物騒な事件が多い世の中に何を言っているんだ、私は。

靴を脱いで中に足を踏み入れると、電気をつけた。

ベッドにテレビ、テーブル、机のうえにはパソコン、椅子、特注で作ってもらった本棚…と見なれた我が家がそこにあった。

本棚に視線を向けると、コミック本や好きで読んでいる作家の小説はもちろんのことだけど、私の名前の本がたくさんある。

その大半が自分の作品で埋まっているなんて、我ながら変な光景だ。

「――寝よう…」

私はそう呟くと、部屋の電気を消した。

ベッドのうえに横になったのと同時に睡魔がやってきた。

そう言えば、締め切りはもうすぐだったよな…。

まあ、明日から頑張って仕上げれば間にあうか…。

そんなことを心の中で呟きながら、私は夢の世界へと意識を飛ばした。