目の前に見える真っ白な壁。
窓を見れば今すぐにでも雨が降り出しそうな空模様。
黒髪のボブヘアー。
普通なら今日から新学期が始まる頃。
高校生活最後の年になる。
でもそんなの私には関係ないか。
高校生らしい事してないもんね。
手元には白い布団。
着ているのは高校の制服じゃなくて病衣。
部屋を出ると、歩いているのは病院の先生や看護師さん達。
そして私が今まで受けてきたのは授業じゃなくて、病気を治すための治療。
もうこんな生活嫌だよ。

ートントン
「はい。」
「おはよう。優羽ちゃん。」
「・・・おはようございます。」
小さい頃から良く気にかけてくれてる看護師さんが、今日も予定を伝えに来た。
「今日は天気悪いねぇ。今日は検査の日だから、早めに準備しておいてね。」
「・・・はい、わかりました。」
ーガラッ
「はぁ・・・。」
今日も検査か。
私なんて検査しても意味無いんだろうけどね。
そう言いながらふかふかのベッドから下りて、洗面台の前に歩み寄る。
「鏡に映ってる顔、楽しくなさそうだな。」
肩にかかる髪の毛をクシでとかしながらそう呟く。

窓の外を見ると、真っ暗な空。
こんな天気じゃ、こっちまで気持ちが沈んじゃうよ。
神様ってホントに意地悪だ。
世の中には今頃、楽しい学校生活を楽しんでいる人が沢山いるのに。
私はずっと病院に居なきゃ行けない。
私だって普通の生活、人生を歩みたいよ。
何だったら今すぐ死んじゃった方がマシだよ。
「私って生きる意味あるのかな・・・。」

ーガラッ!!
『そんなのあるに決まってんだろ。』
「え・・・?」
声の先に視線を向けると、そこには私より10cmくらい背が高く、蜂蜜色の髪の毛をした少年が太陽かのように微笑み、病室のドアにもたれて立っていた。

「あなたは・・・誰ですか?」

その少年との出逢いと同時に曇った空に太陽の光が差していた。