「へ?」
間抜けな声が出た。
だってしょうがないじゃん!!
いきなりそんな事言われても…
私の返答を聞かず金髪が腕を掴み歩き出す。
すると奏太が金髪に話し掛けて
「か、海斗さん!そいつ俺らの連れなんですけど…」
ナイス!奏太!!
「あ?あぁ、借りてくな。ちゃんと家には返す。」
いや、え、勝手に話を進めないで?!
そんな事を言う暇もなく私の手を掴んだまま金髪が黒い車へ向かう。
え、これ高級車だよね?
乗れない…
ていうか乗ったらこれ拉致じゃ…
金髪の方を見てもこちらへは見向きもしない。
「あの…」
「乗れ…」
「早く乗れ」
乗る以外の選択肢は無いと金髪のオーラが語ってる。
金髪が車の扉を開けた先にはもう茶髪の人が乗っていた。
こちらに気付けば手を振ってくる。
とりあえず頭を少し下げながら乗り込む。
すると彼も乗り込んだ。
「溜まり場」
「了解です。」
金髪と運転手の会話。
それから気まずい沈黙が流れる。
それを打ち破ったのは茶髪の彼。
「なぁ、どういう事なの?」
「何が?」
「何がってその子だよ」
「お前は恋してるのに俺はしたらいけねぇのか?」
え…。
茶髪の人恋してるんだ…
じゃなくてえ?
恋って?
この金髪が?
え、誰に?
まさか…私に?
「初対面だろ?」
「んなの関係ねぇだろ。」
「あのなぁ、海斗」
「お前は初対面の女家に上がらせただろ」
私のわからない話がどんどん進んでいく。
茶髪がはてなマークを浮かべている私に気付き金髪から目を離せば溜息をつく。
「あ、ごめんね?僕は速水綾人って言うんだ!獅子の副総長をしているからよろしくね?で、こっちの無愛想なのが総長の水沢海斗って言う名前なんだよ」
にっこりと微笑んだ。
あ、かわいい
「うん!よく言われるよ、ありがとね!」
またにっこりスマイルをこちらに向けてくる。
え?私声に出てた?恥ずかしい!!
ていうか、え、獅子ってさっき皆が話してたあの獅子?
た、確かに歓声に総長とかそんなこと言ってた気もするけど
嘘でしょ?!
「お前は?」
金髪…いや海斗…さんが口を開く。
「あ、えと…鈴白亜美です。」
「そうか。」
彼がふっと微笑む。
少しドキッとした。
こんなんあの歓声の人達と一緒じゃん…
彼にドキッとした私を少し軽蔑する。
「鈴白…」
茶髪…じゃなくて綾人さんが私の名前を復唱する。
「あの…どうかしましたか?」
「ん?いや、なんでもないよ!」
彼が笑顔を見せる。
うわ、可愛すぎるよ!!
