やっと放課後…。


皆の熱は覚めること無く質問攻めだった。


孤児院の事は言わなかった。


少しだけ罪悪感が生まれる。


けど言ったら皆離れて行っちゃうし…


そして、私はこの後が楽しみな気持ちでいっぱいだった。


楓、そしてクラスメイトの柊奏太、神代美波、杉田深夜に放課後遊ぼうと誘われたのだ。


嬉しい。


つい頬が緩んでニヤけてしまう。それを悟られないようにどれ程努力したことか。


「亜美〜?もうっ置いてくよ?」


楓と私は1日で大分仲良くなった。


「え、置いてかないで〜!」


鞄を持つと小走りで扉にいる皆へ近寄る。


他愛も無い話が何故かとても楽しい。


気付いたら靴を履き変え校門を出ていた。


「あれ?皆いつも何処で遊ぶの?」


「繁華街だよ!あ、けど夜はあんまり行かない方がいいかも…」


「一応獅子が取り締まってるが他のグループも居るしな」


「獅子?え、ライオン?」


「お前獅子も知らねぇの?」


「もう深夜!しょうがないじゃん。まだこの街来たばっかなんだから」


来たばっかでは無いんだけどね…


私はいま親の転勤でこの街に来た事になってる。


勿論ずっとこの街に居たんだけど…獅子なんて聞いたことないな…


「それで獅子ってなんなの?」


「暴走族だよ」


「暴走族?!」


きっと私今変な顔してる。


だって暴走族なんて、


「え、じゃあもっと危険じゃない?」


「いや、獅子は意味なく戦わない。てか俺ら獅子に入ってるし」


「え?!」


待って、てことは皆暴走族ってこと?!


頭が回らない。


皆普通の高校生に見えるけど…


「ごめんね、驚かせちゃった?けど私達俗に言う下っ端みたいなもんだし…溜まり場にも行くけど暴走族って実感は無いかな。」


「そう…なんだ。」


「もしかして…一緒に居たくないかな?」


今までの私なら返答に迷っていたかもしれない。


しかし、私はそんな理由で皆から離れない。


逆に私があの孤児院出身って言って離れていかないか心配だよ…


「ううんっ!あたしは皆が大好きだから一緒に居たい!!」