「うっせぇ奴だな」
耳を疑う。
教師がこんなに口が悪くていいの?!
「もう少しでチャイムがなるから早く行きなさい」
口が悪い教師、固まっている私を置いて笑顔で言ってくる叔父。
その笑顔は早く出て行けと言っているようで。
先程までの優しさが嘘みたい。
そんなに急いで追い出そうとしなくてもいいじゃない。
少しむっとしていたら”先生”が部屋から出て行ったので「失礼します」と言いながら小走りで後を追う。
「俺は山瀬瑞希だ。警察沙汰にならねぇなら好きにすればいい。」
スタスタ歩きながら先生が自己紹介をしてくる。
警察沙汰って…。
私そんなに悪く見える?
制服も必要以上に乱してないし髪も染めてない。あのカラフルヤンキーの方がよっぽど悪く見えるだろう。
「はい…」
不服そうに返事をすれば急に止まった先生へぶつかる。
「あ、すみません。」
「お前、無防備だったら襲われるから気を付けろよ?」
え……襲われる?
誰が?誰に?
そんな疑問は直ぐに解消される。
先生が入っていった教室には2年A組と書いてある。
そして教室にはカラフルな頭。
ああ、襲われるってこのヤンキーに?
偏見だがヤンキーは悪いイメージ。
カツアゲされたらどうしよう…
「おいてめぇら席付け。こいつは転校生だ。とにかく問題は起こすな。俺が面倒いから」
ん??
最後のは聞かなかったということにしよう。
「ほら、あいさつ」
先生の言葉にはっとする。
「今日からこのクラスでお世話になります。鈴白亜美です!どうか皆さん仲良くしてください」
笑えていたかは分からないが精一杯の笑顔を作った。
クラスは静まり、視線が痛い。
言いたいことは分かる。
どんな可愛い子が来るかきたいしちゃったよね…
私は心で密かに謝った。
