食堂へ向えば朝から煩い幼い小学生や未だ未成年だと言うのに煙草を吸っている中高生。煙草が臭くないと思う様になったのは慣れだろう。
「おはようございます」
席に座りにこにこと子供を見ている40代ぐらいの女に挨拶をする。この孤児院の院長だ。
「あら、おはよう。制服似合っているわね」
まるで自分の子供を相手にしている様な話し方に吐き気がする。実はこの孤児院、養子に出すなどと言い人身売買をしているのだ。8歳にしてこの事実を知った私は深く傷ついた。然し今ではどうでもいい。深く干渉しなければいいのだから。
「いただきます」
朝食を口へ運ぶ。子供を売って手に入れたご飯は味がしない。このご飯も事実を知る前は美味しかったのに。
「…ご馳走様」
3分の1程食べた所で箸を置く。院長は何か言いたそうな顔をしていたが何時もの事なので特に何も言ってこない。
もう孤児院を出て学校に行くことにした。
どうせ「行ってきます」と言っても聞こえないだろうから無言で出ていく。
