本当は…話したいことなんか山ほどある。
英語の勉強はどう?ちゃんと話せている?
寮生活は順調?フラットメイトと仲良くやっている?
でも私は…その会話を始める糸口がわからない。
だって隣に居ることが当たり前で、何も言わなくてもお互いを把握していたような気がしていた。
でもそんな思いは……桜が散るように、消えてなくなってしまった。
そんな想いは『幻』だった、のだ。
桜が咲いた頃、彼は‐私を置いて、遥か彼方に旅立った。
私は見送りに、行かなかった。
『私も引っ越しがあるから』という理由をつけて…本当はどうでもいい用事を無理矢理詰め込んで、見送りには行かなかった。
それでも彼は‐律儀に、空港の公衆電話から私に電話をかけてきた。
「行ってくるよ」の言葉……それは遥か彼方に旅立つ人の言葉ではなく、ただ近くに出かける時の言葉なんだ。私はそう、自分に言い聞かせた。
だから私は……「またね」と言って電話を切った。
どうしても……どうしても、認めたくなかった。
私達の中には『別れ』は存在しなかった。
‐正面から、それを受け止める勇気が……持てなかったのだ。
英語の勉強はどう?ちゃんと話せている?
寮生活は順調?フラットメイトと仲良くやっている?
でも私は…その会話を始める糸口がわからない。
だって隣に居ることが当たり前で、何も言わなくてもお互いを把握していたような気がしていた。
でもそんな思いは……桜が散るように、消えてなくなってしまった。
そんな想いは『幻』だった、のだ。
桜が咲いた頃、彼は‐私を置いて、遥か彼方に旅立った。
私は見送りに、行かなかった。
『私も引っ越しがあるから』という理由をつけて…本当はどうでもいい用事を無理矢理詰め込んで、見送りには行かなかった。
それでも彼は‐律儀に、空港の公衆電話から私に電話をかけてきた。
「行ってくるよ」の言葉……それは遥か彼方に旅立つ人の言葉ではなく、ただ近くに出かける時の言葉なんだ。私はそう、自分に言い聞かせた。
だから私は……「またね」と言って電話を切った。
どうしても……どうしても、認めたくなかった。
私達の中には『別れ』は存在しなかった。
‐正面から、それを受け止める勇気が……持てなかったのだ。



