きっとサクラが咲く頃

しばらく飛行機を眺めていると…ようやく匠馬は口を開いた。

「八月に大学を卒業したら、都内の大学に戻るよ。
非常勤で講師する予定なんだ。今日はそれで、大学の人に会っていた」

「何を教えるの?」

「ざっくり言うと、バイオテクノロジーだね。遺伝子組み換えとか、環境による生態系の変化を見るとか、そんな感じだよ」

匠馬は質問に答えた後‐クスクスと笑い始めた。
「初めて…千聡が俺が何してるか聞いたね」と。


「……だって…何か、匠馬が遠くなって行く気がして」

中学の時までは、確実に隣に居て…同じ時間を刻んでいた私達。
でも高校生になってからは、いつも勉強をする匠馬を後ろから見て追っかけることしか出来なかった。
追っかけたとしても‐到底追い付けるものではなかったし。

「匠馬に…『いらない』って言われるのが怖かったんだ。
だって私はさ、何の取り柄もないし…だったら現状維持でいいじゃないって」