きっとサクラが咲く頃


「千聡、怒ってる……?」

いつもよりスピードを出しているので、不機嫌さは伝わっているらしい。

「普通に考えて怒るでしょ。何であんな急に言うかな…」

「だってその方がスムーズに行くじゃん」

「………頭痛いわ」

不機嫌な私とは違って、バックミラーに映る匠馬は晴れやかな表情だ。
もしや……

「最初から、狙ってた……?」
「いや、そういうわけじゃないけど……」

一度チラッと横目で匠馬を見ると‐一瞬だけ目が合った。
また進行方向に視線を戻すと、匠馬のため息が聞こえてくる。
「だって心変わりされちゃたまらないじゃん」

「匠馬こそ、向こうの金髪美女に心変わりしたらどうすんの」

「大丈夫だよ」そう言って匠馬は、私の頭に手を置いた。

そして得意そうに、こう言った。
「誰かさんは俺が居ないと、自分を大切に扱えないんだから」と。


「だから俺が……ずっと支えてあげないとね」