‐一月五日

目を覚ますと、太陽の光が随分高い。壁の時計に目をやると、もう朝の十時になっているようだ。
隣にいたはずの温もりは完全に消えていて、随分前に部屋を後にしたんだなというのがわかった。
温もりは感じないけれど‐肌に残る余韻が、昨日の出来事が現実だったと感じさせてくれる。


ベッドから出た私は、風呂場に直行した。
シャワーを浴びていると、どんどんあの余韻が消えていくようで……徐々に現実に引き戻されていく。

あの頭を撫でる、大きな手の温もり‐それはシャワーの熱に、完全にかき消されて行ってしまった。


‐今日は、どうしようかな。
まだ送っていく、という返事はしていない。
夕方には家を出て、夜には飛行機に乗ってしまう匠馬。
私は何が……できるだろう。

シャワーから上がると…テーブルの上に、メモが置かれていた。

『夕方6時 待ってるから』

たったそれだけが書かれている紙。
私はずっと…ずっと目を背けていた。それでも‐匠馬は必要としてくれた。

気が付けば、涙が頬を伝っていた。
私に必要なのは‐今も昔も…匠馬なんだ。