きっとサクラが咲く頃

お互いに背中合わせになっていたので、姿はわからなかったけれど…紛れもなく聞こえるのは、彼の声だった。
大声で、友達に自慢気に話す彼の声が聞こえてきていて……その会話で、私は知ってしまった。
彼の私に対する思いと‐自分の馬鹿さ加減を。

『最近俺さぁ、女子高生と遊んでんだよね』

『何だよ自慢かよ…どうなんだアッチの具合は?』

『いやーなかなかヤラせてくんないんだよなぁ。
処女ってめんどくせー』

『いいじゃねーかJkの処女貰うって』

『まあな。楽しみだよな。何をしてもキラッキラ目を輝かせてバカみてーでウザいけど。
ま、早くヤラせて貰えるよう頑張るわー』

そのまま彼は、電車に吸い込まれるようにしてその場を去ったが……私は動けずに、電車を何本も何本も見送った。

自業自得であるが、一気に奈落の底に気分が落ちていて…ただひたすら、ぼんやりと電車を見送っていた。

‐あぁそうか。彼は私が好きな訳ではないのか。

彼にとって私は……ゲームの一種を楽しむような、そんな感じなんだ。
そんな空しさが込み上げていた。