‐匠馬に初めて抱かれたのは、十七歳の時だった。
中学の時まで一緒だった私達でも、高校生になるとバラバラになっていた。
私はごく中堅、ごく普通の普通科の高校に進学していて、一方匠馬は、進学校と呼ばれる高校に進学していた。
なので私と匠馬は、めっきり顔を合わせる機会が減っていた。会うとすれば、ごくたまに駅で鉢合わせするぐらいに。
当時の私は、まぁ『女子高生』らしい生活を送っていた。それも……わりと『馬鹿』に入る方の。
毎日放課後にはカラオケ、ゲーセン…とまぁ割りと身の丈に合わないグループに所属してしまったけれど、まぁそれなりには楽しくて、毎日着いていこうと必死だった。
その中でも一番夢中になったのが‐ライブだった。
ある日友達のお兄さんが組んだバンドのライブに誘われて行って……そこで私は恋に落ちてしまった。
そのお兄さんのバンドの一つ後のバンド‐地元を拠点とする、二十代半ばのインディーズ…いや、アマチュアのバンドのボーカル。
今思っても、すごく浅はかだったとは思っている。
でも当時の私は、スポットライトを浴びて歌う彼が…とてつもなくキラキラしていて、まるで映画の中から飛び出てきたヒーローのように思っていたのだ。



